第1章もいよいよ最後のページです。ここまでDNS・ドメイン・CDN・プロキシ・SSL/TLSと、Cloudflareの土台となる仕組みを見てきました。そのたびに「無料プランでも使える」という言葉が登場しましたが、では有料プランでは何が変わり、いくらかかるのでしょうか。
Cloudflareの料金体系は、慣れれば明快ですが、初見では全体像がつかみにくいものです。プラン(Free/Pro/Business/Enterprise)という縦軸と、アドオンや従量課金という横軸が組み合わさっているためです。このページでは、その全体構造を整理します。個別の機能はまだ登場していないものも多いので、ここでは「地図」を頭に入れることを目標にし、細かな機能は各章で学んだ後、第9章の「プランの選び方」で改めて実践的に検討します。
このページで分かること
- Cloudflareの料金の基本構造(プラン+アドオン+従量課金)
- 「ドメイン単位」で課金されるという考え方(ゾーンとは)
- Free/Pro/Business/Enterpriseの4プランの違いと料金
- 無料プランでどこまでできるのか
- 料金を考えるときに初心者が注意するポイント
料金の基本構造
3階建てで考える
Cloudflareの料金は、次の3階建てで捉えると整理しやすくなります。

- プラン:ドメインごとに選ぶ基本サブスクリプション(Free/Pro/Business/Enterprise)。CDN・DNS・SSL・WAF・DDoS対策といった、ここまで学んできた中核機能の性能・上限がプランで決まります
- アドオン:プランに追加で契約するオプション。前のページまでに登場したAdvanced Certificate Manager(月10ドル)やArgo Smart Routing、APOなどがこれにあたります
- 従量課金サービス:WorkersやR2など、第5章以降で学ぶ開発者向けサービス群。プランとは独立した「使った分だけ」の課金体系で、それぞれに無料枠があります
「Cloudflareの料金」と聞いてイメージされるのは1のプランですが、実際の請求は1+2+3の合計です。逆に言えば、2と3を使わなければ、FreeプランのCloudflareは本当に0円で使い続けられます。
課金の単位は「ゾーン」=ドメイン
プランは、アカウントではなくゾーン(zone)ごとに契約します。ゾーンとはCloudflareに追加した登録ドメイン1つ分の管理単位で、「kaylog.io」で1ゾーン、「example.com」を追加すればもう1ゾーンです。サブドメイン(blog.kaylog.io など)は同じゾーンに含まれるため、追加料金はかかりません。
つまり「kaylog.io はProプラン、example.com はFreeプラン」のように、ドメインごとに別のプランを選べます。複数ドメインを有料プランにすれば、その分だけ料金も倍々になっていく、ということでもあります。
4つのプラン
料金と位置づけ
2026年8月時点の料金は次のとおりです(米ドル建て。月払いと年払いで単価が異なります)。
| プラン | 月額(年払い) | 月額(月払い) | 位置づけ |
|---|---|---|---|
| Free | 0ドル | 0ドル | 個人サイト・ブログ・検証用 |
| Pro | 20ドル | 25ドル | 収益のある個人サイト・小規模ビジネス |
| Business | 200ドル | 250ドル | 事業の基幹となるWebサイト |
| Enterprise | 個別見積り | 個別見積り | 大企業・ミッションクリティカルな用途 |
Free:無料でも「体験版」ではない
CloudflareのFreeプランは、機能制限つきのお試し版ではなく、恒久的に使える本番運用可能なプランです。ここまでの章で学んだ機能で言えば、次がすべて無料に含まれます。
- 権威DNS(高速・DNSSEC対応)
- CDN(帯域無制限。転送量課金なし)
- 無制限のDDoS対策(規模による追加課金なし)
- Universal SSLによる自動HTTPS化
- WAF(カスタムルール5個と無料版マネージドルール)
「無料の範囲が異常に広い」ことはCloudflareの最大の特徴で、個人ブログや自宅サーバーの公開であれば、Freeプランで完結することが多いのが実情です。
Pro:サイトを「磨く」機能が加わる
Proプランで加わるのは、主に最適化と分析の機能です。
- WAFのフル機能のマネージドルールセット(Cloudflare管理の攻撃防御ルール一式。第2章で詳述)
- 画像の自動圧縮・最適化(Polish)やモバイル向け高速化(Mirage)
- WordPressサイトのHTMLキャッシュを安全に行うAPO
- より詳細なアナリティクス
- WAFカスタムルール20個、アップロード上限は100MBのまま
Business:業務利用の要件に応える
Businessプランは、機能そのものよりも「事業で使うための要件」が主役です。
- 100%稼働率のSLA(サービス品質保証。障害時間に応じた返金補償)
- 稼働保証つきのサポート(チャット・メールの優先対応)
- カスタム証明書の持ち込みやPCI DSS準拠への対応
- WAFカスタムルール100個、アップロード上限200MB
Enterprise:性能・サポート・契約の特注
Enterpriseプランは定価のない個別契約で、専任担当者・24時間電話サポート・アクセスログの外部出力(Logpush)・アップロード上限の引き上げ・より強力なボット対策など、大規模組織向けの要素が加わります。月数千ドル規模からが一般的とされます。本ガイドの読者がすぐに契約することは少ないと思いますが、「上位にはこういう世界がある」と知っておくと、機能ページの「Enterpriseのみ」という表記が理解しやすくなります。
プランで変わる主な上限値
ここまでの章で登場した項目に絞って、プランによる違いをまとめます(2026年8月時点)。
| 項目 | Free | Pro | Business | Enterprise |
|---|---|---|---|---|
| CDN帯域 | 無制限 | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
| DDoS対策 | 無制限 | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
| Universal SSL | ○ | ○ | ○ | ○ |
| WAFカスタムルール | 5個 | 20個 | 100個 | 1,000個 |
| アップロード上限 | 100MB | 100MB | 200MB | 500MB〜(拡張可) |
| 画像最適化(Polish等) | − | ○ | ○ | ○ |
| 稼働率SLA | − | − | 100%(返金補償) | 100%(強化された補償) |
| サポート | コミュニティ | メール | 優先(チャット等) | 専任・24時間 |
CDN帯域とDDoS対策が全プラン無制限である点に注目してください。他社では従量課金になりがちな部分こそ無料、という思想がCloudflareの料金の特徴です。
アドオンと従量課金:プランの外側
アドオン(ゾーン単位のオプション)
プランに関係なく追加契約できる代表的なオプションです。いずれもこれまでのページで顔を出したものです。
- Advanced Certificate Manager:月10ドル。深い階層のサブドメインの証明書など(SSL/TLSのページ参照)
- Argo Smart Routing:月5ドル+転送量課金。経路最適化(CDNのページ参照)
- APO:月5ドル(Pro以上のプランには追加費用なしで含まれます)。WordPress高速化
- Cache Reserve:保存量・操作数による従量課金。キャッシュの長期保存
従量課金サービス(開発者向け)
第5章以降で学ぶWorkers・R2・D1・Workers AIなどは、プランとは別建ての従量課金です。それぞれ独立した無料枠があり、超えた分だけ支払います。「Webサイトの保護・配信はプラン、アプリ開発の実行環境は従量課金」という役割分担で捉えておけば、この段階では十分です。
初心者が注意するポイント
- まずFreeで始めて困ってから上げる:CloudflareのFreeプランはアップグレード圧力が弱く、機能が足りなくなった時点で該当ゾーンだけ上げれば済みます。最初からProを契約する必要はありません
- 支払いは米ドル建て:ドメインのページでも触れたとおり、請求はドル建てのカード決済です。為替レートで円換算額が変わります
- 月払いと年払いの差:ProとBusinessは年払いにすると月あたり20%安くなります。継続利用が決まっているサイトなら年払いが有利です
- ゾーン単位であることを忘れない:ドメインを増やすと、有料プランの費用はドメイン数分かかります。複数サイト運営者は「どのドメインに有料機能が必要か」を絞るのがコツです
- プランを上げても解決しないこともある:たとえばアップロード上限500MB超やタイムアウト延長はEnterpriseの領域ですし、HTTP以外のプロトコルはプランでなくSpectrumの領域です。「困りごとがプランの問題なのか、別サービスの問題なのか」の切り分けが大切です
関連サービス
- Workers / R2 / D1 など開発者向けサービス:プランとは別の従量課金体系。第5章・第6章で解説します
- Zero Trust(Cloudflare One):社内向けアクセス制御の製品群。これもプランとは別の課金体系(ユーザー数単位。50ユーザーまでの無料枠あり)で、第3章で解説します
まとめ
- Cloudflareの料金は「プラン+アドオン+従量課金」の3階建て
- プランはゾーン(登録ドメイン)単位で契約し、ドメインごとに別プランを選べる
- Free/Pro(月20〜25ドル)/Business(月200〜250ドル)/Enterprise(個別見積り)の4段階
- CDN帯域とDDoS対策は全プラン無制限。Freeは本番運用に耐える恒久プラン
- Proは最適化・分析、BusinessはSLA・サポートなど業務要件、Enterpriseは特注対応が主な違い
- 迷ったらFreeで始め、必要になったゾーンだけアップグレードする
次に読む
※本記事の情報は 2026年8月時点のものです。