DNSとは?名前解決の仕組みとレコードの基礎

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ブラウザに「kaylog.io」と入力してエンターキーを押すと、ほんの一瞬でWebサイトが表示されます。このとき裏側では、入力されたドメイン名から「そのサイトはインターネット上のどこにあるのか」を調べる作業が必ず行われています。この仕組みがDNS(Domain Name System:ドメインネームシステム)です。

前のページ「Cloudflareとは?何ができるサービスなのか」の最後で、Cloudflareの導入は実質的にDNSの設定作業だと述べました。DNSはインターネット全体を支える土台であると同時に、Cloudflareを使いこなすための最初の関門でもあります。このページでは、名前解決の流れとDNSレコードの基礎を、順を追って丁寧に理解していきます。

このページで分かること

  • DNSが何のためにある仕組みか(ドメイン名とIPアドレスの関係)
  • 名前解決の流れ(リゾルバー・ルート・TLD・権威DNSの役割分担)
  • 主要なDNSレコード(A・AAAA・CNAME・MX・TXTなど)の意味
  • TTLとキャッシュ、そして「設定がすぐ反映されない」理由
  • CloudflareにおけるDNS(権威DNSサービスと1.1.1.1)

DNSとは

ドメイン名とIPアドレス

インターネット上の機器は、IPアドレスという数値の住所で互いを識別しています。IPアドレスには「203.0.113.10」のような形式のIPv4アドレスと、「2001:db8::1」のような形式のIPv6アドレスの2種類があります。通信は最終的にすべてこのIPアドレス宛てに行われます。

しかし、数値の羅列を人間が覚えるのは困難です。そこで「kaylog.io」のような人間に読みやすい名前、すなわちドメイン名を使い、ドメイン名とIPアドレスを対応づける仕組みが作られました。それがDNSです。ドメイン名からIPアドレスを調べることを名前解決と呼びます。

DNSはよく「インターネットの電話帳」にたとえられます。名前から番号を引く、という点で的確なたとえですが、実際のDNSは一冊の電話帳ではありません。ここから一歩踏み込んで、その構造を見てみましょう。

世界に1つの巨大サーバーがあるわけではない

DNSの情報を世界中でたった1台のサーバーが管理していたら、そのサーバーが止まった瞬間にインターネット全体が止まってしまいます。そこでDNSは、ドメイン名の階層構造に沿って管理を分担する、分散型のデータベースとして設計されています。

ドメイン名はドットで区切られた階層になっています。「kaylog.io」であれば、いちばん右に省略された「ルート(根)」があり、その下に「io」(トップレベルドメイン、TLDと呼びます)、さらにその下に「kaylog」が続きます。DNSサーバーもこの階層に対応して、ルートを管理するサーバー、「.io」を管理するサーバー、「kaylog.io」を管理するサーバー、と役割分担されています。

このうち、特定のドメインの情報を正式に持っているサーバーを権威DNSサーバーと呼びます。Cloudflareを導入するときに設定するのは、この権威DNSサーバーです。

名前解決の仕組み

登場人物を整理する

名前解決には、大きく分けて2種類のDNSサーバーが登場します。

  • リゾルバー(フルサービスリゾルバー、キャッシュDNSサーバーとも呼ばれます):利用者からの「このドメインのIPアドレスは?」という質問を受け取り、代わりにあちこちのサーバーへ問い合わせて答えを見つけてくる係です。通常は契約しているプロバイダーのものが自動的に使われますが、後述するCloudflareの1.1.1.1のような公開リゾルバーを自分で指定することもできます。
  • 権威DNSサーバー:ドメインの情報(レコード)を正式に保管し、質問に答える係です。ルートサーバー、TLDのサーバー、各ドメインのサーバーは、いずれもそれぞれの階層の権威DNSサーバーです。

質問する側(リゾルバー)と答えを持っている側(権威DNS)、という役割の違いをまず押さえてください。この区別が、後でCloudflareのサービスを理解するときに効いてきます。

名前解決の流れを追う

ブラウザで「kaylog.io」を開くとき、名前解決は次のように進みます。

DNSの名前解決の流れ
図1:DNSの名前解決の流れ
  1. PCやスマホがリゾルバーに「kaylog.ioのIPアドレスは?」と質問します
  2. リゾルバーはまずルートDNSサーバーに問い合わせます
  3. ルートは「.ioのことは、.ioのDNSサーバーに聞いてください」と紹介を返します
  4. リゾルバーは紹介された「.io」のDNSサーバーに問い合わせます
  5. 「.io」のサーバーは「kaylog.ioのことは、この権威DNSサーバーに聞いてください」と紹介を返します
  6. リゾルバーはkaylog.ioの権威DNSサーバーに問い合わせます
  7. 権威DNSサーバーが「203.0.113.10です」と答え(レコード)を返します
  8. リゾルバーがその答えをPCに返し、ブラウザはこのIPアドレスに接続してページを取得します

上位のサーバーが答えそのものではなく「次に聞くべき相手」を紹介していく、リレー形式になっている点がポイントです。この仕組みのおかげで、世界中の膨大なドメインを分散して管理しながら、どのドメインでも確実にたどり着けるようになっています。

キャッシュとTTL

毎回この8ステップを繰り返すのは無駄が多いため、リゾルバーは一度調べた答えを一定時間覚えておきます。これをキャッシュと呼びます。2回目以降の質問には、権威DNSサーバーまで問い合わせに行かず、キャッシュから即座に答えを返します。

「一定時間」がどのくらいかを決めるのが、レコードごとに設定されたTTL(Time To Live:生存時間)です。TTLが3600秒なら、リゾルバーは答えを最大1時間キャッシュします。TTLを短くすれば変更が早く行き渡り、長くすれば問い合わせの負荷が減る、という関係です。

DNSの設定を変更しても世界中に反映されるまで時間がかかるのは、各地のリゾルバーに残った古いキャッシュがTTLの期限を迎えるのを待つ必要があるからです。俗に「DNSの浸透」と呼ばれる現象の正体は、このキャッシュの期限切れ待ちです。

DNSレコードの基礎

権威DNSサーバーに登録されている1件1件の情報をDNSレコードと呼びます。レコードには種類(タイプ)があり、それぞれ役割が決まっています。まずは主要なものを一覧で見てみましょう。

レコード 役割
A ドメイン名をIPv4アドレスに対応づける
AAAA ドメイン名をIPv6アドレスに対応づける
CNAME ドメイン名を別のドメイン名の「別名」にする
MX そのドメイン宛てのメールをどのサーバーで受けるか指定する
TXT 任意のテキストを記載する(所有権確認やメール認証に使う)
NS そのドメインの権威DNSサーバーがどれかを示す
CAA SSL証明書を発行してよい認証局を制限する
SRV 特定のサービスが動くホストとポート番号を示す

A・AAAAレコード:名前解決の主役

最も基本のレコードです。「kaylog.io → 203.0.113.10」のように、ドメイン名とサーバーのIPアドレスを直接結びつけます。IPv4用がA、IPv6用がAAAAで、Webサイトを公開するなら少なくともどちらか1つは必要です。

CNAMEレコード:別名をつける

CNAME(Canonical Name)は「このドメイン名は、あちらのドメイン名と同じです」という別名の宣言です。たとえば「www.kaylog.io → kaylog.io」というCNAMEを作っておけば、wwwつきでアクセスされてもwwwなしと同じ場所に案内されます。参照先のIPアドレスが変わっても、CNAME自体は直す必要がないのが利点です。

MX・TXTレコード:メールを支える

MX(Mail Exchange)は「このドメイン宛てのメールは、このメールサーバーに届けてください」という指定です。Webサイトの表示には関係ありませんが、独自ドメインのメールアドレスを使うには必須です。

TXTは自由なテキストを載せられるレコードで、実務では「このドメインの所有者であること」の証明や、メールのなりすましを防ぐ認証情報(SPF・DKIM・DMARCと呼ばれる仕組み)の記載に使われます。メール認証の詳細は本ガイドの範囲を超えますが、「TXTレコードはメールの信頼性に深く関わる」ことは覚えておいてください。

NSレコード:管理者を示す看板

NS(Name Server)は「このドメインの権威DNSサーバーはここです」という看板です。先ほどの名前解決の流れで上位サーバーが返していた「紹介」の実体が、このNSレコードです。Cloudflareを導入する際の「ネームサーバーの変更」とは、この看板をCloudflareのサーバーに書き換える作業を指します。

CloudflareではどうDNSを使うか

権威DNSサービスとしてのCloudflare

Cloudflareの原点のひとつが、権威DNSサービスです。自分のドメインのネームサーバーをCloudflareに変更すると、以後そのドメインのレコードはCloudflareの管理画面(ダッシュボード)で編集することになります。

CloudflareのDNSには次の特長があります。

  • 高速:独立系の測定サービスDNSPerfで、世界最速クラスの応答速度と評価されています。世界330以上の都市のデータセンターすべてが応答するため、どこからの問い合わせにも近い場所から答えられます
  • 無料:Free・Pro・BusinessプランではDNSクエリ数への課金がありません。個人サイトなら完全に無料で使えます
  • 堅牢:権威DNS自体がCloudflareのDDoS防御の内側にあるため、DNSサーバーを狙った攻撃にも耐性があります
  • APIで操作できる:すべてのレコードをAPI経由で作成・変更でき、設定をコードで管理する使い方にも対応します

プロキシステータス:オレンジ雲とグレー雲

Cloudflareの管理画面でA・AAAA・CNAMEレコードを編集すると、他のDNSサービスにはない「プロキシステータス」という項目が現れます。雲のアイコンがオレンジ色ならプロキシ有効(通信がCloudflareを経由し、高速化や防御が働く状態)、グレーならDNSのみ(Cloudflareは名前解決だけを行い、通信はサーバーへ直接届く状態)です。

プロキシを有効にできるのはA・AAAA・CNAMEだけで、MXやTXTなどは常にDNSのみで動作します。また、プロキシが有効なレコードのTTLは自動的に300秒(5分)に固定されます。このオレンジ雲こそCloudflareの中核機能ですが、詳しい仕組みは専用のページ「Cloudflareのプロキシとは?オレンジ雲の仕組み」で解説します。

もうひとつの顔:パブリックリゾルバー1.1.1.1

ここまでのCloudflare DNSは「答えを持つ側」(権威DNS)の話でした。実はCloudflareは「質問する側」(リゾルバー)のサービスも提供しています。それが1.1.1.1です。

Cloudflareが担うDNSの2つの役割
図2:Cloudflareが担うDNSの2つの役割

1.1.1.1は、誰でも無料で使えるパブリックDNSリゾルバーです。PCやスマホ、ルーターのDNS設定を1.1.1.1(予備は1.0.0.1)に変えるだけで、プロバイダーのリゾルバーの代わりにCloudflareのリゾルバーが名前解決をしてくれます。応答の速さに加えて、閲覧履歴にあたるクエリデータを広告目的で販売しないというプライバシー方針を掲げている点が特徴です。マルウェアサイトへの名前解決をブロックしてくれる家庭向けの1.1.1.1 for Familiesという派生版もあります。

権威DNS(サイト運営者として使う)と1.1.1.1(インターネット利用者として使う)は、同じCloudflareのネットワーク上で動いていますが、役割はまったく別のサービスです。この2つを混同しないことが、DNSを理解できているかどうかの分かれ目になります。

DNSSEC:応答の改ざんを防ぐ

DNSの応答は途中で偽物にすり替えられる攻撃(DNSキャッシュポイズニングなど)のリスクがあります。DNSSECは、権威DNSの応答に電子署名を付けて「本物の答えであること」を検証できるようにする拡張仕様です。Cloudflareではダッシュボードからワンクリックで有効化でき、無料プランでも利用できます。

具体例:ブログのDNSレコードを設定してみる

独自ドメイン「example.com」でブログとメールを運用する場合、権威DNSには最低限このようなレコードを登録します(IPアドレスは例示用の値です)。

タイプ 名前 内容 意味
A example.com 203.0.113.10 サイト本体のサーバーの住所
CNAME www.example.com example.com wwwつきを本体の別名にする
MX example.com mail.example.com メールはこのサーバーで受ける
TXT example.com v=spf1 …(SPF情報) 送信メールのなりすまし対策

Cloudflareにネームサーバーを移す場合も、登録するレコードの内容自体は同じです。違いは、AとCNAMEにオレンジ雲(プロキシ)を付けるかどうかの選択肢が増えることだけです。この表の意味が読めるようになっていれば、このページの目標は達成です。

初心者が注意するポイント

  • 設定変更はすぐには行き渡らない:各地のリゾルバーのキャッシュが切れるまで、古い答えが返り続けます。切り替え作業の前にTTLを短くしておくと、影響時間を減らせます
  • ネームサーバー変更は「全レコードの引っ越し」:看板を書き換えると、以後は新しい権威DNSの内容だけが使われます。移行先にレコードを漏れなく登録してから切り替えるのが鉄則です。Cloudflareは既存レコードを自動で読み取ってくれますが、必ず一覧を見比べて確認しましょう
  • MX・TXTの消し忘れ・写し忘れはメール事故につながる:Webサイトは表示されるのにメールだけ届かない、というトラブルの多くはここが原因です
  • レコードの削除・変更は即座に影響が出る:作業前に現在の設定を控えておき、いつでも元に戻せるようにしておきましょう

関連サービス

  • Cloudflare DNS(権威DNS):本ページで説明した、ドメインのレコードを管理するサービス。Cloudflare導入の入口です
  • 1.1.1.1:利用者側として使うパブリックリゾルバー。ドメインを持っていなくても今日から使えます
  • Cloudflare Registrar:ドメインそのものを取得・管理するサービス。次のページ「ドメインとは?」で扱います
  • Email Routing:MXレコードの仕組みを使って、独自ドメイン宛てのメールを普段のメールアドレスに転送できる無料サービス。後のチャプターで解説します

まとめ

  • DNSはドメイン名からIPアドレスを調べる(名前解決する)ための、階層型の分散データベース
  • 質問を代行するリゾルバーと、答えを正式に持つ権威DNSサーバーの役割分担で動いている
  • 答えはリゾルバーにキャッシュされ、その保持時間を決めるのがTTL。設定変更の反映に時間がかかるのはキャッシュのため
  • レコードの基本はA・AAAA(住所)、CNAME(別名)、MX・TXT(メール)、NS(看板)
  • Cloudflareは権威DNS(運営者向け・無料・高速)と1.1.1.1(利用者向けリゾルバー)という2つの顔を持つ

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※本記事の情報は 2026年8月時点のものです。

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