10秒でいうと
同じ資料を渡しても、指示の書き方で返るものは変わります。
足りないのはたいてい、出力の形・判断の基準・例外の扱いの3つです。
第1章で、Claudeは「ありそうな言葉」を選んでいると書きました。ここから素直な結論が出ます。続きが一意に決まる書き方をすれば、望むものが出やすい。
この章から第7章まで、ひとつの仕事を題材に進めます。
この章から使う題材
取引先5社から、見積書がPDFで届いた。商品名・数量・単価・納期を、1枚の表にまとめたい。
手でやると1時間かかります。この仕事が、章が進むごとに形を変えていきます。第2章はチャットに1枚ずつ渡すところから始めます。
同じ資料に、3回頼んでみる

1回目。PDFを添付して、こう書きます。
この見積書をまとめてください。
返ってくるのは、書いてあることの文章での要約です。読めば分かりますが、表ではないので次の作業に使えません。Claudeは「まとめて」を「要約して」と解釈しました。どちらの意味でも通る言葉だからです。
2回目。出力の形を足します。
この見積書から、商品名・数量・単価・納期を抜き出して表にしてください。
今度は表が返ります。かなり良くなりました。ただ、単価に「¥」や「円」が混ざったり、納期が「3週間」「9/15」のように書式がばらついたりします。PDFにそう書いてあるからです。
3回目。判断の基準と、例外の扱いを足します。
この見積書から、商品名・数量・単価・納期を抜き出して表にしてください。
・単価は数値のみ。記号や単位は入れない
・納期は「YYYY-MM-DD」に揃える。期間で書かれていたら今日から数えて換算する
・読み取れない項目は空欄にして、表の下にどのページのどこか書いてください
これで、そのまま貼れる表になります。3回目と1回目の差は、資料ではなく指示だけです。
足りていなかった3つ
順番に足したものを整理します。
出力の形。表なのか文章なのか。表なら何列か。「まとめて」は形を指定していません。
判断の基準。書式が揺れているとき、どちらに揃えるのか。指定しなければ、資料に書いてあるまま返ってきます。それは間違いではありませんが、こちらが困ります。
例外の扱い。読み取れないものが出たとき、どうしてほしいのか。ここを書かないと、Claudeは黙って推測で埋めることがあります。それが一番こわい失敗です。「分からなければ空欄にして、どこか教えて」と書いておけば、確認すべき場所が手元に残ります。
もうひとつ効くもの
具体的な例を1つ見せる、という手があります。
次の形式でお願いします。
| 商品名 | 数量 | 単価 | 納期 |
| 事務机A | 5 | 32000 | 2026-09-15 |
説明を10行書くより、例を1行見せるほうが速くて正確です。書式の説明が難しいときほど効きます。
やってみよう:粗い指示と整えた指示を比べる(3分)
手元のPDFか写真を1枚用意してください。請求書、レシート、名刺、何でも構いません。
プロンプト(1回目)
この書類をまとめてください。返事を見たら、同じ会話で続けてこう書きます。
同じ書類から、日付・相手先・金額を抜き出して3列の表にしてください。
金額は数値のみ。読み取れない項目は空欄にして、どこか教えてください。期待される結果:1回目は文章、2回目は3列の表。列の数と中身が指定どおりになっている。
うまくいかないとき:2回目も文章で返るなら、「表で」という言葉が埋もれています。指示を短く切って、1行目に「3列の表にしてください」だけを置いてみてください。
つまずきポイント
丁寧に書けばよいと思ってしまう。長さと精度は関係ありません。「お手数ですが」「可能であれば」を足しても結果は変わらず、本当に効く条件が埋もれます。短く、条件を箇条書きで。
否定形だけで指示する。「余計なことを書かないで」より「表だけを返してください」のほうが通ります。やってほしいことを書くほうが、続きが一意に決まります。
一度で完璧を狙う。会話なので、返事を見てから足せます。1回目で7割取れれば十分で、残りは追加の指示で埋めるほうが速い。
まとめ
- 同じ資料でも、返るものを決めているのは指示のほう
- 足りないのはたいてい、出力の形・判断の基準・例外の扱い
- 説明が難しい書式は、例を1行見せるほうが速い
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※本記事の情報は 2026年8月時点のものです。