このページで分かること
- Git と GitHub がまったく別物であることが分かる
- どちらの機能を使っているのかを、操作のたびに判別できる
- GitHub 以外の選択肢(GitLab など)があることが分かる
前のページで、Git は分散型なので「手元」と「共有先」の2箇所があると説明しました。この2つに対応するのが Git と GitHub です。名前が似ているせいで同一視されがちですが、作った会社も、動く場所も、できることも違います。
一言でいうと
| Git | GitHub | |
|---|---|---|
| 正体 | ソフトウェア | Webサービス |
| 動く場所 | 自分のPCの中 | インターネット上(他社のサーバー) |
| 作った人 | リーナス・トーバルズ(2005年) | GitHub社(2008年、現在はMicrosoft傘下) |
| 費用 | 無料(オープンソース) | 無料プランあり・有料プランあり |
| ネット接続 | 不要 | 必須 |
| 役割 | 履歴を記録する | 履歴を共有し、人と協業する |
※ GitHub のプラン内容は2026年8月時点の情報です。最新はGitHub公式ドキュメントで確認してください。
Git がなくても GitHub は成り立ちません。GitHub がなくても Git は完全に機能します。
この関係は、カメラと写真共有サービスに似ています。カメラ(Git)は単体で写真を撮れます。Instagram(GitHub)は、撮った写真を人に見せ、コメントをもらうための場所です。カメラを使わずに Instagram だけ使うことはできません。

左が Git、右が GitHub の受け持ちです。間をつなぐ矢印だけが、2つの世界をまたぐ操作です。
Git だけでできること
図の左側に挙げた5つは、インターネットに一度も繋がずにすべてできます。つまり、バージョン管理の本質的な機能はすべて Git 側にあります。第2部で扱うのは、この範囲です。
GitHub が付け足すもの
GitHub は Git のリポジトリを預かる場所であり、そこに協業のための機能を乗せたサービスです。
1. 保管と共有
リポジトリをクラウドに置き、複数のPC・複数の人から読み書きできるようにします。バックアップとしても機能します。
2. 協業のための道具
| 機能 | 何をするもの |
|---|---|
| Issue | 課題・バグ・要望を記録して議論する |
| Pull Request | 「この変更を取り込んでほしい」と提案し、レビューする |
| Projects | 作業をカンバン形式で管理する |
| Discussions | 質問や雑談をする掲示板 |
3. 自動化とホスティング
| 機能 | 何をするもの |
|---|---|
| GitHub Actions | push をきっかけにテストや公開を自動実行する |
| GitHub Pages | リポジトリの中身を静的Webサイトとして公開する |
| Releases | 成果物(実行ファイルなど)を配布する |
| Dependabot | 使っているライブラリの脆弱性を検知して通知する |
これらは Git の機能ではありません。GitHub というサービスが独自に用意しているものです。
どちらを使っているのかを見分ける方法
操作の途中で「今どっちの話をしているのか」が分からなくなったら、次の基準で判断できます。
| 判断基準 | Git | GitHub |
|---|---|---|
ターミナルで git 〜 と打っている |
✅ | |
| ブラウザで github.com を開いて操作している | ✅ | |
| ネットが切れていても実行できる | ✅ | |
| ログインが必要 | ✅ |
ただし例外があります。git push と git clone は Git のコマンドですが、通信相手が GitHub です。この2つは「Git を使って GitHub と通信している」状態で、まさに2つの世界の境界線にあります。だから初心者が最も混乱するのもこの2つです。第6部で丁寧に扱います。
GitHub 以外の選択肢
Git のリポジトリを預けるサービスは GitHub だけではありません。
| サービス | 特徴 |
|---|---|
| GitHub | 利用者数が最大。OSSの事実上の標準。学習資料が最も多い |
| GitLab | 自社サーバーに設置できる版(Self-Managed)がある。企業内利用に強い |
| Bitbucket | Jira など Atlassian 製品との連携が強い |
| Gitea / Forgejo | 軽量で自前サーバーに置ける。NAS などでも動く |
これらはすべて Git を扱うサービスなので、Git の知識はそのまま流用できます。乗り換えても学び直しはほとんど必要ありません。このガイドで Git の基礎に時間を割くのは、そこが一生使える知識だからです。
よくある疑問
Q. 「GitHubにアップする」という言い方は正しいですか?
A. 日常会話としては通じますが、内部で起きていることは「アップロード」とは少し違います。手元の履歴と GitHub 上の履歴を突き合わせ、差分だけを送っています。この違いは第6部の39(push)で扱います。
Q. GitHub にアカウントを作れば Git も使えるようになりますか?
A. なりません。Git は自分のPCに別途インストールする必要があります。第2部の06で扱います。
Q. 会社のコードを GitHub に置いても大丈夫ですか?
A. Private リポジトリにすれば外部からは見えません。ただし、社内規程で外部サービスへのソースコード保管が禁止されている場合もあります。組織で使う場合は、権限設計(第7部の49)とセキュリティ機能(第8部の57)を必ず併せて確認してください。
まとめ
- Git は自分のPCで動くソフトウェア、GitHub はインターネット上のWebサービス
- バージョン管理の本質的な機能(記録・復元・分岐・統合)はすべて Git 側にある
- GitHub が付け足すのは「共有」と「協業」と「自動化」
git 〜と打っているときは Git、ブラウザで操作しているときは GitHub- Git の知識は GitLab など他サービスでもそのまま使える
次のページ
04. GitHubアカウントを作る ── 実際に手を動かします。アカウント作成と、必須になっている2要素認証の設定まで行います。
この記事の最終確認日: 2026年9月