10秒でいうと
効くのは書く前と書いたあとです。真ん中は自分で書いてください。
代わりに書かせると、自分の文章ではなくなり、直す時間のほうが長くなります。
第10章はつくる人の章です。技術ではなく、判断の話が中心になります。
真ん中は自分で書く
先に結論から。本文をゼロから書かせるのは、たいてい失敗します。
理由は2つ。文体が自分のものにならないこと。そしてなぜそう書いたかが自分の中に残らないことです。あとで直すとき、判断の基準がありません。
第8章No.56で事務文書について同じことを書きましたが、創作ではさらに切実です。文章そのものが作品だからです。
書く前:発散させる
企画の段階では、量を出させるのが有効です。
(テーマ)で企画を考えています。
・切り口を20個挙げてください
・ありがちなものと、ひねったものを混ぜて
・それぞれ1行で
・良し悪しの評価はしないでください。私が選びます
20個と数を指定するのがコツです。5個だと無難なものしか出ません。後半にしか出てこないものがあります。
出そろったら、こう続けます。
このうち、私が(自分の作風や関心)に近いのはどれですか。
理由も教えてください。ただし、選ぶのは私です。
書く前:構成を詰める
構成は相談すると質が上がります。
(作品の種類)の構成を考えています。私の案は次のとおりです。
(構成案)
・弱いところを3つ挙げてください
・読者が離脱しそうな箇所と、その理由
・順番を入れ替えると良くなる可能性がある箇所
・書き直さないでください。指摘だけお願いします
書き直さないで、という一行を必ず入れてください。入れないと、勝手に整えられた構成が返ってきて、自分の意図が消えます。
書いたあと:推敲
ここがいちばん効きます。
次の文章を推敲します。書き直さないでください。
・意味が二通りに取れる箇所
・同じことを二度言っている箇所
・接続が飛んでいる箇所
・リズムが単調になっている箇所
指摘だけを、箇所を引用しながらお願いします。
箇所を引用させると、確認が速くなります。
もうひとつ、効く聞き方があります。
この文章を読んで、書き手が何を伝えたいと考えているか教えてください。
自分の意図と食い違ったら、伝わっていないということです。直すべき場所が分かります。
脚本と対話
台詞は相性が難しい部分です。それらしい台詞は書けますが、その人物の台詞にはなりにくい。
有効なのは、人物の設定を検査させる使い方です。
この人物の台詞を並べます。
(台詞をいくつか)
・この人物像から外れている台詞はどれですか
・一貫していない点があれば指摘してください
・台詞は書き直さないでください
書かせるのではなく、ぶれを見つけさせる。この形なら、自分の作品のまま精度が上がります。
任せない部分
はっきりさせておきます。
- 何を書くか
- どう書くか(文体)
- どこを残し、どこを削るか
- 完成したかどうかの判断
この4つを渡すと、自分の作品ではなくなります。技術的にできるかではなく、そうしたいかの問題です。
生成物の扱いについて
創作でAIを使うとき、商用利用の可否、他人の著作物を渡してよいか、AIが関わったことを明示するかが問題になります。
分野によって慣行が違い、変わり続けています。第11章のNo.79で扱います。発表する前に読んでください。
やってみよう:伝わっているか確かめる(3分)
自分が書いた文章を1つ用意してください。短くて構いません。
プロンプト
“`
次の文章を読んで、書き手が何を伝えたいと考えているか教えてください。・主張を1文で
・強く伝わってくる感情や態度
・読み終えて残る印象評価や改善案は要りません。読んで受け取ったものだけ書いてください。
(文章を貼る)
“`期待される結果:3つが返る。自分の意図と食い違う部分が、直すべき場所です。
うまくいかないとき:一致しすぎたなら、文章が説明的すぎる可能性もあります。それも一つの情報です。
つまずきポイント
本文を書かせる。直す時間のほうが長くなります。
書き直さないで、という一行を入れない。勝手に整えられて、意図が消えます。
評価を求める。「良い」「面白い」は判断の材料になりません。具体的な指摘を求めてください。
発表前に権利の確認をしない。No.79を読んでください。
関連ページ
- No.12 プロンプトの応用 — 壁打ちの型
- No.13 日本語で使うときのコツ — 文体の指定
- No.79 著作権と生成物の扱い — 発表する前に
まとめ
- 効くのは書く前と書いたあと。真ん中は自分で書く
- 発散は数を指定する。20個出させると後半に光るものが出る
- 推敲は書き直さないで、指摘だけ
- 何を書くか、どう書くか、どこを削るかは渡さない
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※本記事の情報は 2026年8月時点のものです。