10秒でいうと
機械翻訳との違いは、文脈と意図を渡せることです。
「誰に、どういう関係で、何を伝えたいか」を書き足すだけで、出てくる文章が変わります。
機械翻訳と何が違うか
機械翻訳は文を訳します。Claudeは状況ごと受け取れます。
次の日本語を英語にしてください。
相手:長年の取引先の担当者。友好的だが、今回はこちらの落ち度
目的:納期遅延を伝え、代案を出し、関係を保つ
避けたいこと:言い訳がましく見えること
(日本語の文面)
この3行を足すだけで、出てくる英文が変わります。機械翻訳には渡せない情報です。
逆に、単語や短文をただ訳すだけなら機械翻訳のほうが速い。使い分けてください。
訳を揃える
実務でいちばん効くのがこれです。第2章のNo.13でも触れましたが、業務では規模が違います。
同じ単語が、日によって違う訳になるのが問題です。対策は対応表を先に渡すこと。
次の対応で訳してください。表にない語は英語のまま残してください。
・lead time → 納期
・unit price → 単価
・PO → 発注書
・acceptance → 検収
(原文)
表にない語は英語のまま残して、という一行が肝です。こうすると、対応表に足すべき語が目立ちます。放っておくと、勝手に訳された語が混ざって気づけません。
対応表が育ってきたら、プロジェクト機能(No.14)かファイル(No.24)に置いてください。
英文メール
3つの使い方があります。
書く。上の「状況ごと渡す」形です。
読む。相手のメールの意図を確かめる使い方が効きます。
このメールについて教えてください。
・相手が求めていること(明示されているもの/されていないもの)
・急いでいる度合い
・返答で触れないと失礼になる点
英語のニュアンスは判断が難しいので、ここは実際に助かります。
整える。自分で書いた英文を直させる。自分の英語で書いてから直させるほうが、意図がずれません。
契約書の読解
ここは慎重に扱うページ(No.62)の範囲です。翻訳の視点だけ書きます。
英文契約を読むとき、訳すのではなく「何が書いてあるか」を聞くほうが安全です。
この英文契約について、次を教えてください。
・こちらが負う義務
・相手が負う義務
・期間、更新、解除の条件
・読み取りにくい、または曖昧な表現
**条文番号や法令名を挙げないでください**。該当箇所は原文を引用してください。
太字の1行が重要です。条文番号や判例は、それらしく作られる代表例です(No.02、No.80)。原文を引用させれば、こちらが確かめられます。
最終的な解釈と締結の判断は、専門家に置いてください。詳しくはNo.62です。
時差と文化
地味ですが役に立つ使い方。
(相手の国と都市)の担当者と打ち合わせをします。
・こちらの午前中で、相手の業務時間に入る時間帯
・避けたほうがよい曜日や時期(祝日、長期休暇)
・最初のメールで触れると印象が良いこと、触れないほうがよいこと
祝日は必ず確認してください(No.18)。年によって変わります。
やってみよう:状況を渡して訳させる(3分)
送る予定の日本語の文面を1つ用意してください。
プロンプト(1回目)
“`
次の日本語を英語にしてください。(文面)
“`次に、新しい会話で状況を足して同じことを頼みます。
“`
次の日本語を英語にしてください。相手:(関係性)
目的:(何を達成したいか)
避けたいこと:(どう見られたくないか)(文面)
“`期待される結果:2つの英文が明確に違う。2回目のほうが、語調と構成が状況に合っている。
うまくいかないとき:違いが小さいなら、元の文面が短すぎます。数行以上の文面で試すと差が出ます。
つまずきポイント
訳語の揺れに気づかない。同じ会話の中では揃っていても、日を分けるとずれます。対応表を会話の外に置く。
訳してから渡す。英語の資料はそのまま渡してください(No.13)。訳の段階で情報が落ちます。
契約書の条文番号を挙げさせる。No.62の禁止事項です。
関連ページ
- No.13 日本語で使うときのコツ — 文体と訳語の基本
- No.62 契約と法務の下ごしらえ — 契約書の扱い方
- No.71 手続き・書類・説明書 — 個人の書類の読解
まとめ
- 違いは文脈と意図を渡せること。相手・目的・避けたいことの3行
- 訳語の対応表を先に渡し、「表にない語は英語のまま」を足す
- 英文契約は訳させるより、何が書いてあるかを聞く
- 条文番号や法令名は挙げさせない
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※本記事の情報は 2026年8月時点のものです。