契約と法務の下ごしらえ

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10秒でいうと

使えるのは下ごしらえまでです。読解、論点の洗い出し、質問の整理、社内文書の下書き。
条文番号・判例・法令名をAIに挙げさせないでください。実在しないものが混ざります。

先に、扱わないことを書きます

このページは下ごしらえの範囲だけを扱います。

  • 契約してよいかの判断は扱いません
  • 法的なリスクの評価は扱いません
  • 条文の解釈は扱いません

最終的な判断は、弁護士などの専門家に置いてください。このページの使い方は、その専門家に相談する前の準備を速くするためのものです。

線引き

境目は、間違ったときに誰が責任を負うか
図1:境目は、間違ったときに誰が責任を負うか

任せてよいこと。

  • 契約書を読んで、論点を挙げる
  • 社内向けに要約する
  • 確認すべき質問を並べる
  • 過去の類似契約と比べる

人が判断すること。

  • 条文の内容が正しいか
  • 締結してよいか
  • 交渉でどこを譲るか
  • 法的なリスクの重さ

条文番号を挙げさせない

このページで最も重要な注意です。

第1章のNo.02で書いたとおり、Claudeは「ありそうな言葉」を選びます。条文らしい文体、条文らしい言い回し、条文らしい番号。全部それらしくなりますが、実在するとは限りません。

法令名、条文番号、判例。この3つは、それらしい嘘が混ざる代表例です。

だから、こう頼みます。

この契約書について、次を教えてください。

・こちらが負う義務
・相手が負う義務
・期間、更新、解除の条件
・曖昧で、解釈が分かれそうな表現

**法令名や条文番号を挙げないでください**。
該当する箇所は、契約書の原文をそのまま引用してください。

原文を引用させれば、こちらが確かめられます。要約された条文は確かめられません。

法令そのものを確認するときは、e-Gov法令検索などの一次情報を開いてください。Claudeに聞いた内容を、そのまま信じないでください。

論点を洗い出す

いちばん実用的な使い方です。

この契約書を読んで、締結前に確認すべき点を挙げてください。

・重要な順に、最大10個
・それぞれ「なぜ確認が必要か」を1行で
・契約書のどこを見ればよいか、原文の引用つきで
・こちらに不利になりうる箇所には印を付けてください

条文番号や法令名は書かないでください。

人が読み落としやすいのは、有利な条項ではなく、書かれていないことのほうです。次のように追加で聞くと出てきます。

この契約書に書かれていないが、通常は定めておくことが多い項目を挙げてください。

専門家に聞く前の準備

弁護士に相談する時間は有限です。質問を整理してから行くと、同じ時間で得られるものが変わります。

この契約について、弁護士に相談します。
聞くべき質問を、優先度順に整理してください。

・自分で調べれば分かることと、専門家に聞くべきことを分けてください
・質問には、前提となる事実も添えてください
・私が説明すべき背景も箇条書きにしてください

1つ目の分類が効きます。調べれば分かることを聞くのは、時間の使い方としてもったいない。

社内文書の下書き

社内規程、利用規約、業務委託の雛形。下書きまでなら作れます。

ただし2つ守ってください。

雛形をそのまま使わない。業種、規模、取引の形で必要な条項は変わります。必ず専門家の確認を通してください。

根拠を確認する。「法律で決まっている」という説明が付いてきたら、それが本当か一次情報で確かめてください。

渡してよいかを先に考える

契約書には、取引先の情報、金額、条件が含まれます。そのまま渡してよいかは、使っているプランと社内ルールで決まります。

第4章のNo.27で書いたとおり、公式の安全ガイドは財務書類へのアクセスを与えないようにと明記しています。まず確認してください(No.78)。

やってみよう:専門家に聞く質問を整理する(5分)

手元にある契約書や規約を1つ用意してください。社外秘でないものにしてください。

プロンプト
“`
この文書について、専門家に相談する前の準備をします。

・自分で調べれば分かること
・専門家に聞くべきこと

の2つに分けて、それぞれ質問の形で並べてください。
法令名や条文番号は書かないでください。該当箇所は原文を引用してください。
“`

期待される結果:2つに分かれた質問リストが返る。「自分で調べれば分かる」側が意外に多い。

うまくいかないとき:条文番号が出てきたら、その指示が効いていません。もう一度、番号を挙げないよう伝えてください。この挙動を自分で確認しておくことに意味があります。

つまずきポイント

条文番号を信じる。必ず一次情報で確かめてください。

要約だけ読んで判断する。原文の引用を求めてください。

法律ではこうなっている、を鵜呑みにする。根拠を確認してください。

専門家への相談を省く。このページの目的は、相談を速くすることであって、省くことではありません。

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まとめ

  • 使えるのは下ごしらえまで。判断は専門家に置く
  • 条文番号・判例・法令名を挙げさせない。原文を引用させる
  • 効くのは論点の洗い出しと、質問の整理
  • 法令の確認はe-Gov法令検索などの一次情報で

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※本記事の情報は 2026年8月時点のものです。

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