会社のチームで考える役割分担

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10秒でいうと

エージェントの使い方は、人に仕事を頼むときと同じ形になります。
ただし1点だけ違う。経緯を共有していないので、前提を毎回渡す必要があります。

エージェントの話は抽象的になりがちです。ここでは、会社で仕事を頼むときの形に置き換えて整理します。この比喩は第5章以降でも使い続けます。

3つの役

指示役が決め、実務役が動き、レビュー役が確かめる
図1:指示役が決め、実務役が動き、レビュー役が確かめる

指示役は人です。何をしたいのかを決め、できたものを受け取ります。この役だけは渡せません。

実務役が手を動かします。PDFを開き、項目を抜き出し、表を作る。エージェントが担うのはここです。

レビュー役が確かめます。行数は合っているか、数字は合っているか。実務役と別に立てるのが要点です。自分の仕事を自分で採点すると甘くなるのは、人でもAIでも同じです。

小さい仕事なら実務役とレビュー役を兼ねさせて構いません。大事な仕事ほど分ける。この判断が、第5章のサブエージェントにそのままつながります。

人に頼むときと何が違うか

目的と基準は同じように渡す。違うのは経緯の扱い
図2:目的と基準は同じように渡す。違うのは経緯の扱い

人に頼むとき、こちらは多くを省略しています。「例の見積の件、まとめといて」で通じるのは、相手がこれまでの経緯を知っているからです。

エージェントには、それがありません。前の会話の内容も、先週の決定も、社内の事情も持っていません。だから、省略したぶんが全部、推測で埋まります。

渡すべきものは人のときと同じです。目的・判断の基準・失敗したときの扱い。違うのは、人には省略できる「経緯」を、エージェントには言葉にして渡す必要があることだけです。

これは面倒ですが、副産物があります。言葉にする過程で、自分でも曖昧だった部分が見つかります。「安いほうを選んで」と書こうとして、総額なのか単価なのか決まっていなかった、というような形で。

悪い頼み方と、良い頼み方

悪い頼み方。

見積書のフォルダを見て、いい感じにまとめておいて。

人にも通じにくい頼み方です。何を「いい感じ」と呼ぶかが共有されていません。

良い頼み方。

見積書フォルダの5社分のPDFから、商品名・数量・単価・納期を抜き出して
1枚の表にしてください。

・単価は数値のみ。納期は YYYY-MM-DD に揃える
・読み取れない項目は空欄にして、どのファイルのどこか報告する
・表ができたらいったん見せてください。保存はまだしないで

最後の1行が、指示役の役割を守る部分です。No.19で書いた「どこまでやったら止まるか」がここに入っています。

責任は移らない

この比喩でひとつだけ注意があります。人に頼むときは責任の一部が相手に移りますが、エージェントに任せても責任は移りません。

出てきた表が間違っていたとき、「Claudeが間違えた」は理由になりません。確かめる工程を設計しなかったのは指示役です。

だから、任せる範囲を広げるときは、確かめる仕組みも一緒に広げる必要があります。片方だけ広げると、静かに壊れます。

やってみよう:自分の仕事を3つの役に分ける(5分)

プロンプト
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私の仕事を「指示役・実務役・レビュー役」の3つに分解してください。
それぞれについて、AIに任せられるか、人が持つべきかを判定し、
理由も書いてください。

仕事:(毎週やっている作業を1つ、手順まで書く)
“`

期待される結果:3つの役に分かれ、指示役が人に残る形になる。レビュー役の扱いで判断が分かれる。

うまくいかないとき:レビュー役まで「AIに任せられる」と返ってきたら、「間違いに気づけなかった場合の影響」を足して聞き直してください。影響が大きいほど、人が持つべきという判定に変わります。

つまずきポイント

実務役とレビュー役を同じ場所でやらせる。作った本人に「合っていますか」と聞くと、たいてい合っていると答えます。別の会話、別のエージェントで確かめると、精度が変わります。

指示役を明け渡してしまう。「どうすればいいと思う?」と聞くのは相談として有効ですが、決めるのは人です。任せた気になっているうちに、誰も決めていない状態になります。

うまくいった頼み方を残さない。良い指示は資産です。次に同じ仕事をするとき、ゼロから書き直すのはもったいない。残して使い回す方法がNo.25です。

まとめ

  • 役は指示役・実務役・レビュー役の3つ。指示役だけは渡せない
  • 人と違うのは、経緯を共有していないこと。省略したぶんは推測で埋まる
  • 実務役とレビュー役は分ける。自己採点は甘くなる
  • 任せても責任は移らない。範囲を広げるなら確かめる仕組みも広げる

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※本記事の情報は 2026年8月時点のものです。

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