10秒でいうと
大きなシステムを作り替えるのではなく、業務の隙間を埋めるところから。
いちばん価値が出るのは、誰も引き継げない作業を文書にすることでした。
大きく作らない
社内DXの話は「システムを刷新する」に向かいがちですが、Claudeが効くのはそこではありません。
効くのは隙間です。
- 部署間でデータを手で移し替えている
- 月次の集計を、決まった人しかできない
- 同じ内容を、システムごとに入れ直している
- 手順書はあるが、実際には誰かの頭の中にある
どれも「システムを作るほどではないが、毎月時間を取られている」種類です。
既存システムとつなぐ
3つの選択肢があります(第6章No.47)。
| 状況 | 手段 |
|---|---|
| CSVの書き出しができる | まずこれ。書き出してCoworkで処理 |
| APIがある | MCPサーバーを自作(No.48) |
| どちらも無い | ブラウザ操作(第4章)。ただし壊れやすい |
1行目から試してください。CSVで書き出せるなら、つなぐ必要すらありません。第4章のCoworkでフォルダに置けば処理できます。
APIがある場合、MCPで包むとチャットからもClaude Codeからも使えます。ただし第6章No.47で書いたとおり、CLIがあるならCLIのほうが軽い。
3行目は最後の手段です。画面が変わると壊れます。
小さく内製する
社内で必要なツールを作る話です。第5章と第7章の内容がそのまま使えます。
現実的な進め方。
- 手作業で1回やる。手順が言葉になる
- Claude Codeで1回やらせる。指示が言葉になる
- スキルにする(No.40)。同じ人が繰り返せる
- 必要ならプログラムにする(第7章)
3で止まってよいことが多い。スキルは手順書としても読めます。プログラムにすると保守が発生します。
いちばん価値が出たもの
実務で意外に効くのが引き継ぎ資料です。
「Aさんしかできない作業」は、たいてい手順書がありません。あっても実態と違います。
私がこれからやる作業を、実況しながら説明します。
それを、初めての人が読んで実行できる手順書にしてください。
・私が省略した前提があれば、質問してください
・「たぶんこうだろう」で補わないでください
・判断が要る箇所は、判断の基準も聞いてください
(作業しながら説明していく)
質問してください、と入れるのが要点です。暗黙の前提は、聞かれて初めて言語化されます。
これはNo.25で書いた「指示書はいきなり作らない」と同じ構造です。実際に困ってから、あるいは実際にやりながら書くほうが正確になります。
止めておくべきこと
基幹システムへの自動書き込み。読むだけにしてください。書くのは人が押す(第3章No.19)。
承認フローの自動化。承認は判断です。判断は移せません(No.22)。
誰も見ていない定期実行で、外に出るもの。第4章No.31、第5章No.43で繰り返した話です。
個人情報を含むシステムとの接続。社内ルールの確認が先です(No.78)。
社内で広げるとき
自分だけで使うのと、部署で使うのは別の話です。
- 範囲の設定を共有する(第4章No.27の作業専用フォルダ、第5章No.38の
CLAUDE.md) - 何を渡してよいかを文書にする(No.78)
- 失敗したときに誰が気づくかを決める(No.55)
3つ目が抜けたまま広がるのが、いちばん危ない形です。詳しくは第11章のNo.82で扱います。
やってみよう:引き継げない作業を文書にする(5分)
自分しかできない作業を1つ選んでください。
プロンプト
“`
これから、私しかできない作業の手順を説明します。
初めての人が読んで実行できる手順書にしてください。・私が省略した前提があれば、その都度質問してください
・「たぶんこうだろう」で補わないでください
・判断が要る箇所では、判断の基準も聞いてくださいまず質問から始めてください。私が説明を始めるのはそのあとです。
“`期待される結果:先に質問が来る。答えているうちに、自分でも意識していなかった判断が出てくる。
うまくいかないとき:質問が浅いなら、作業の名前だけでなく「何のためにやるか」を先に伝えてください。
つまずきポイント
大きく作ろうとする。隙間から始めてください。
CSVで済むのにつなごうとする。書き出せるなら、それでいい。
手順書を書いてから始める。やりながら書くほうが正確です。
基幹システムに書き込ませる。読むだけから。
関連ページ
- No.48 MCPサーバーを自作する — 社内システムをつなぐ
- No.40 スキルを作る — 手順を部品にする
- No.82 チーム・企業で導入する — 社内展開の進め方
まとめ
- 大きく作らない。業務の隙間から
- CSVで書き出せるなら、つなぐ必要すらない
- 価値が出たのは引き継ぎ資料。やりながら書かせる
- 基幹システムへの書き込みと承認は自動化しない
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※本記事の情報は 2026年8月時点のものです。