10秒でいうと
AIと外のシステムをつなぐ共通の決まりごとです。
公式のたとえは「AIのUSB-C」。つなぎ方が1つに決まると、作る側も使う側も楽になります。
第3章のNo.20で、Claudeに道具を渡す話をしました。その道具をどう渡すかの標準がMCPです。
なぜ標準が要ったのか

標準が無い世界を考えると分かりやすい。
AIアプリが5つ、つなぎたいサービスが10個あるとします。それぞれが独自のつなぎ方をすると、50通りの実装が要ります。サービス側は5つのAI向けにそれぞれ作り、AI側は10のサービス向けにそれぞれ作る。
つなぎ方を1つに決めれば、15回で済みます。サービスは1回作れば全部のAIから使え、AIは1回対応すれば全部のサービスにつながる。
これが公式の「AIのUSB-C」というたとえの中身です。USB-Cも、機器ごとに違う端子を作る世界を1本にまとめたものでした。
MCPはオープンな標準で、Claudeだけのものではありません。ChatGPT、VS Code、Cursorなども対応しています。1回作れば、どこでも使えるというのが利点です。
3人の登場人物
公式ドキュメントの整理です。
| 役割 | |
|---|---|
| ホスト | AIアプリそのもの(Claude Code、Claude Desktop、VS Codeなど) |
| クライアント | サーバー1つにつき1つ作られる、接続を保つ部品 |
| サーバー | 実際にデータや道具を提供するプログラム |
サーバーは、どこで動いていてもサーバーです。手元のパソコンで動くもの(Claude Desktopが起動するファイルシステムのサーバーなど)も、遠くのサービスで動くもの(Sentryのサーバーなど)も、同じ「MCPサーバー」です。
サーバーが提供できる3つ
ここがMCPの中心です。サーバーは3種類のものを出せます。
ツール。実行できる関数です。ファイルを操作する、APIを叩く、データベースに問い合わせる。AIが呼んで、何かをするもの。
リソース。読めるデータです。ファイルの中身、データベースのレコード、APIの応答。AIが読んで、判断の材料にするもの。
プロンプト。使い回せるテンプレートです。よく使う指示の型、例示のセット。
公式の例が分かりやすいので引きます。データベースにつなぐサーバーなら、問い合わせるツール、スキーマを見せるリソース、使い方の例を含むプロンプトを出せます。
実務でいちばん使うのはツールです。リソースとプロンプトは、対応しているクライアントとサーバーの組み合わせによります。
何が起きているか
内部はJSON-RPCという仕組みで、要求と応答をやりとりしています。細かい話はNo.48で扱いますが、流れだけ押さえておくと理解が速くなります。
- クライアントが「どんな道具がありますか」と聞く(
tools/list) - サーバーが道具の一覧を返す。名前・説明・引数の形式つき
- Claudeが「この道具を、この引数で」と呼ぶ(
tools/call) - サーバーが実行して、結果を返す
No.20で書いたClaudeは申告するだけで、実行するのは外側という形が、そのまま当てはまります。MCPサーバーが、その「外側」にあたります。
そして、道具の説明文がそのまま精度になるという話も同じです。一覧に載る説明が曖昧だと、Claudeは呼ぶべき場面を判断できません。
つなぐ数だけ入口が増える
利点の裏返しです。接続を1つ増やすたびに、外から来る文章の入口が1つ増えます。
第3章のNo.21で書いたプロンプトインジェクションが、ここで現実の話になります。MCPサーバーが返してきた文章の中に指示が仕込まれていたら、Claudeはそれを読みます。
この話はNo.50でまとめて扱います。便利さと危うさが同じ性質から来ているのは、第3章から一貫しています。
やってみよう:つなぐ価値がある先を洗い出す(3分)
プロンプト
“`
私が仕事で使っているサービスやシステムを挙げます。それぞれについて、
Claudeとつなぐと何ができるようになるか、そしてつなぐ価値が
「高い・普通・低い」のどれかを判定してください。判定の理由には、「手作業がどれだけ減るか」と
「つないだときに増える危険」の両方を含めてください。・(サービスを4つから6つ)
“`期待される結果:価値が3段階に分かれ、危険の側も書かれている。読み取り専用のものは価値が高く危険が低い、という傾向が見える。
うまくいかないとき:全部「高い」になったら、危険の側を考えていません。「書き込みができるか」「外部に情報が出るか」を足して聞き直してください。
つまずきポイント
MCPを製品だと思ってしまう。決まりごとです。製品はサーバーのほうで、それぞれ別の人が作っています。
つなげば賢くなると思ってしまう。道具が増えるほど、選び間違えます(No.20)。その仕事に要るものだけ。
ツールとリソースの違いを気にしすぎる。使う側としては、呼ぶものと読むものくらいの区別で足ります。
まとめ
- MCPはつなぎ方の共通の決まりごと。オープンな標準でClaude専用ではない
- 登場人物はホスト・クライアント・サーバーの3つ
- サーバーが出せるのはツール・リソース・プロンプト。呼ぶもの、読むもの、型
- つなぐ数だけ、外から来る文章の入口が増える
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※本記事の情報は 2026年8月時点のものです。