自分のアプリに組み込む

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10秒でいうと

動かすところまでは簡単です。難しいのは、失敗したときにどうするか。
出力が壊れる、上限に当たる、費用が読めない。この3つを先に設計してください。

第7章の締めくくりです。ここまでで、APIの呼び方(No.51)、機能(No.52)、費用(No.53)、エージェント化(No.54)を見ました。

最後は、実際に社内で動かすときの話です。

動かすのは簡単、続けるのが難しい

試作は1日でできます。本番で3か月動かすのが難しい。差は、失敗をどう扱うかにあります。

先に決めておくべき3つを挙げます。

出力が壊れたとき

構造化出力を使ってください(No.52)。これで形は保証されます。

ただし、形が正しいことと、中身が正しいことは別です。日付の欄に日付が入っていても、それが正しい日付とは限りません。

検算を組み込む。第4章のNo.33で書いた3つが、そのまま使えます。

  • 件数:入力が5件なら、出力も5件か
  • 端:最初と最後が妥当か
  • 差分:前回の結果と比べて、変わり方が説明できるか

そして、読み取れなかったことを表現できる型にしてください。空文字ではなく null、あるいは「要確認」のフラグ。推測で埋まった値と、読めなかった値が区別できないのが、いちばんこわい状態です。

上限に当たったとき

レート制限には必ず当たります(No.51)。

すぐ再試行しない。間隔を空けて再試行する仕組みが各SDKに入っています。それを使ってください。

当たったときに何を返すかを決めておきます。エラーにするのか、順番待ちにするのか、前回の結果を返すのか。画面の向こうに人がいるなら、待たせるより「いま混んでいます」と返すほうが親切です。

急がない処理はバッチに逃がすのが本筋です(No.53)。リアルタイムで処理する必要が本当にあるのか、一度疑ってください。

費用が読めないとき

No.53の見積もりを立てたうえで、上限を設ける仕組みを入れてください。

  • Consoleでワークスペースに支出の上限を設定する
  • 自分のアプリ側でも、1日あたりの呼び出し回数を数える
  • 利用者ごとの上限を設ける(自分のサービスに載せる場合)

3つ目が抜けると、1人の利用者の使い方で全体が止まります。

そして使用量の記録を残してください。応答の usage にトークン数が入っています。これを保存しておくと、あとで「どの処理が高いのか」が分かります。

キーの管理、もう一度

No.51で書いたことを繰り返します。キーをクライアント側に置かない。

自分のサービスに載せる場合、必ず自分のサーバーを経由してください。ブラウザやアプリから直接Claudeを呼ぶ作りにすると、キーが利用者に見えます。

サーバーを挟むと、上限の管理も、記録も、フィルタもそこに置けます。設計として自然な形です。

誰が責任を持つか

技術ではなく、運用の話です。ここを決めずに本番に出さないでください。

  • 出力が間違っていたとき、誰が気づくのか
  • 止めるのは誰の判断か
  • 利用者に何と説明するのか

第3章のNo.22で書いたとおり、任せても責任は移りません。AIが出した結果だから、は理由になりません。

AIが関わっていることを利用者に伝えるかも決めておいてください。分野によっては、伝えないこと自体が問題になります。この話は第11章のNo.79で扱います。

小さく出す

最後に順番の話です。

  1. 社内の数人で使う
  2. 失敗の記録を集める(どういう入力で壊れたか)
  3. 検算を足す
  4. 範囲を広げる

2番目を飛ばさないでください。実際に来る入力は、想定と違います。見積書の仕事でいえば、様式の違う1社、スキャンが斜めの1枚、金額欄が空の1件。それが出てから設計するほうが、正確に作れます。

やってみよう:壊れ方を先に洗い出す(5分)

プロンプト
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次の処理をAPIで組んで本番運用します。
「起きうる失敗」を、原因ごとに分けて挙げてください。

・入力の問題(想定外のデータ)
・出力の問題(形は正しいが中身が違う)
・環境の問題(上限、障害)
・運用の問題(誰も気づかない)

それぞれについて、事前に組み込める対策も書いてください。
精神論ではなく、コードか仕組みで解決する案でお願いします。

処理:(ここに書く)
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期待される結果:4分類で失敗と対策が返る。4つ目の「誰も気づかない」がいちばん怖いことが見える。

うまくいかないとき:対策が「確認する」ばかりなら、「人の注意力に頼らない対策だけ」と足してください。第5章のNo.41と同じ話です。

つまずきポイント

試作の成功を本番の見込みにする。10件動いても、1万件では別のことが起きます。

読めなかった値を空で埋める。推測で埋まった値と区別できなくなります。

費用の上限を設けない。想定の10倍が請求される可能性を、設計に入れてください。

気づく仕組みを作らない。静かに間違え続ける仕組みは、本章を通していちばん危険な形です。

このあとどこへ進むか

開発ルートの本編はここまでです。第1章 → 第3章 → 第5章 → 第6章 → 第7章と読んできた方は、Claudeを使い、任せ、つなぎ、組み込むまでを一通り通ったことになります。

このあとは、目的に応じて2つの進み方があります。

第8章(仕事で使う)と第9章(暮らしで使う)は、技術ではなく用途からの実践集です。順番に読む必要はないので、気になるページから開いてください。

まとめ

  • 動かすのは簡単。難しいのは失敗の扱い
  • 形が正しいことと、中身が正しいことは別。検算を組み込む
  • 読めなかった値は、推測で埋まった値と区別できる形にする
  • 誰が気づき、誰が止めるかを決めてから本番に出す

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※本記事の情報は 2026年8月時点のものです。

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