AIは何を覚えていて、何を覚えていないのか

《 Claude完全ガイド 目次へ 》

10秒でいうと

Claudeの記憶は4つの層に分かれています。会話の中・メモリ・プロジェクト・学習データ。
どの層に入れたかで、残る範囲が変わります。覚えていないのも、覚えすぎているのも、層の選び間違いです。

「前に教えたのに覚えていない」と「勝手に前の話を持ち出してくる」。反対に見えるこの2つの不満は、同じ原因から来ています。記憶の置き場所が複数あって、どれに入れたかで残る範囲が違うのに、それが見えにくいためです。

ここを整理しておかないと、覚えているつもりで消えているか、消したつもりで残っているかのどちらかが起きます。後者は、人に見せる画面で前の会話の内容が出てくる、という形で表に出ます。第1章で最も実害に近いページです。

記憶の4つの層

残る範囲が違う4つの層。混同すると、覚えているつもりで消えるか、消したつもりで残るかが起きる
図1:残る範囲が違う4つの層。混同すると、覚えているつもりで消えるか、消したつもりで残るかが起きる

会話の中。いま開いているチャットの中だけ。ここで言ったことは、その会話が続くかぎり参照されます。別の会話には引き継がれません。そして、この会話の中でも、コンテキストウィンドウを超えた分は見えなくなります(No.04)。

メモリ。「これは覚えておいて」と頼んだことが、会話をまたいで残ります。名前、仕事の内容、文体の好み。新しい会話を始めても効きます。便利ですが、意図せず残っていることもあるので、何が入っているかは自分で確認できるようにしておいてください。

プロジェクト。資料と指示をまとめて置いておく箱です。その箱の中で始めた会話にだけ効きます。箱の外の会話には出てきません。仕事ごとに箱を分けておくと、混ざりません。

学習データ。モデルを作ったときに読ませた文章です。こちらからは変えられません。そして、ある時点までのものしか含まれていません。No.02で書いたとおり、いまの会話で渡した資料が学習データになるわけではありません。

「覚えさせたつもり」が消えるとき

いちばん多いのは、会話の中で言っただけというパターンです。

「これから敬語は使わないでください」と1回言って、翌日に新しい会話を開くと、また敬語に戻っています。これは正常な動きです。その指示は「会話の中」の層に入っていて、会話が変われば残っていません。

会話をまたいで効かせたいなら、メモリに入れるか、プロジェクトの指示に書くか、スタイルとして設定する必要があります。層を選び間違えているだけで、機能が壊れているわけではありません。

もうひとつは、長い会話で圧縮が入ったパターンです。同じ会話の中なのに、最初に決めた書式が崩れる。これはNo.04の話です。

消したいとき、どこを消すか

反対の事故も起きます。人に画面を見せるとき、前の会話の内容が出てくると困ります。

  • その会話だけ消したい → 会話履歴からその会話を削除する
  • 覚えていることを消したい → メモリの内容を確認して消す
  • 仕事ごと切り離したい → プロジェクトを分ける

学習データは消せません。そもそも、こちらが渡した情報が学習データに入るかどうかは、使っているプランと設定によって変わります。ここは重要なので、第11章のNo.78で改めて扱います。

やってみよう:いま何を覚えているか棚卸しする(2分)

プロンプト
いま私について覚えていることを、すべて箇条書きで挙げてください。
それぞれ、どこに保存されているもの(この会話の中/メモリ/
プロジェクトの資料)かも書いてください。

期待される結果:覚えている内容が一覧で返り、保存場所が分かれて書かれている。

うまくいかないとき:何も出てこないなら、まだメモリを使っていない状態です。それが分かること自体が収穫です。保存場所の区別が曖昧なら、画面のメモリ設定を直接見るほうが確実です。

つまずきポイント

メモリに何でも入れてしまう。会話のたびに読み込まれるので、増えるほど場所を取り、関係ない場面でも顔を出します。毎回言うのが面倒なことだけに絞ってください。

プロジェクトとメモリの使い分けが分からなくなる。目安は範囲です。その仕事でだけ効いてほしいならプロジェクト、いつでも効いてほしいならメモリ。

削除したのに残っていると感じる。層が違う可能性があります。会話を消してもメモリは残ります。

応用のヒント

Claude Codeを使う場合は、5つ目の置き場所としてCLAUDE.mdがあります。プロジェクトの決めごとをファイルに書いておく方式で、中身が自分で読めて、履歴も残るのが強みです。No.38で扱います。

関連ページ

まとめ

  • 記憶は会話の中・メモリ・プロジェクト・学習データの4層
  • 覚えさせたつもりで消えるのは、層を選び間違えていることがほとんど
  • 消すときも、どの層に入っているかを先に決める

次に読む

チャットの分け方・育て方

→ ガイドの目次に戻る

※本記事の情報は 2026年8月時点のものです。

タイトルとURLをコピーしました